去年、早稲田大学で行われた岡田監督の特別公演の記録を読んだ

いやー、すごい。正直なところワールドカップが始まるまで岡田監督に対する評価はさえない顔した日本人監督と言うところだったし、オシム監督の評価が高かった自分としては本人が悪いわけではないものの、監督の華麗なパスサッカーが見れないことを八つ当たり的に恨みがましく思っていた。
そのため、岡田監督の記事や哲学など、どうしても自分から遠ざけてしまって理解が浅いままだったのだが、今回思い切って講演の記事を読んだところ、今まで持っていた偏見も消えて岡田監督に対して深い尊敬を持てるようになった。
いろいろと素晴らしい点は挙げられるが、何よりも感動したのはそのサッカーへの執拗なまでの情熱である。私は子供のころ野球少年で、そのためだけではないがサッカーにいろいろ因縁があったため、サッカーに対して体と体が激しくぶつかり合う野蛮人のスポーツといったような偏見があったが、それに反するように岡田監督のサッカー理論は統計や論理など深い知性に裏打ちされていた。また驚くほど教養が深く、求道者のようにサッカー指導者としてよりよい、より勝てるサッカーを求めるさまはまるである種の業を背負っているようにも見える。
今年ワールドカップが始まる前、ネット上や2ちゃんねる界隈ではベスト4なぞ絶対無理、夢のまた夢などとバカにする空気があった。それどころかそのようなほとんど1%以下の目標を日本中に発する監督をけなしたり、道化のように扱っていた。私は親善試合でのオランダ戦を見てそこまでひどいものではないと感じており、そのような評価には反発していたが、大筋の見方どおり予選突破することは不可能だろうと感じていた。
しかし、今日本代表は私たちの予想を超え、グループリーグ突破を果たして本日トーナメント一回戦を戦う。ここまでくるとベスト4まであと二勝であり、非常に困難であるもののなにかが起こればそこまでたどり着く可能性もある。私は罵詈雑言と批判の中、ここまでたどり着いた日本代表メンバーと、何より岡田監督に賞賛と敬意を送りたい。そして、もし惜しくもベスト4にたどり着けなかったとしても、また次のワールドカップで岡田監督の指揮の元戦う日本代表を是非とも見たいと思う。その時、目標はすでにベスト4から世界一になっているはずだ。その時日本代表がどこまでたどり着けるかを期待したい。