ボードゲームのネット通販 国内サイトと海外サイトの比較

注意!

この記事は2011/05/07現在の情報を元に書かれているため、時間の経過により事情が変わる可能性があります。また、この記事についても文章が長いために最後にまとめがありますので、忙しい方はそこだけ見てください。


以下本文

ボードゲームを購入する場合、東京近辺に住んでいる人や近くにボードゲームのお店がある人以外はネット上のショップを利用することが多いと思う。自分も最初にドミニオンを買ったのはamazon.co.jpで、その後も何らかの用事で市内に出たとき以外はほとんどのゲームを通販で購入している。
そのボードゲームの通販サイトだが近年新たに通販サイトが開設されたり、一般のホビーを扱うお店が新たに取り扱いを始めたりで増加傾向にある。選択肢が増えるのを歓迎する一方で、徐々にサイト間での価格差が開きつつあり、どこで買うかが重要になりつつある。
そこで、各サイトの特徴を比較する記事を書き始めたのだが、ある程度書いてからサイトの数が多すぎてまとまりがない記事になってしまうことに気付いた。そこでこの記事では国内サイトと国外サイトの特徴を比較し、次回それを踏まえた上でそれぞれのショップが持つ特徴を詳しく説明することにする。
以下、まず比較点を挙げてからその観点で国内サイトと海外サイトを比較する。

価格(日本× 海外)

海外サイトの方が圧倒的に安い。ほぼすべてのゲームが日本の1/2〜1/3の価格で売られ、場合によっては1/4以下の値段で売られていることもある。これはボードゲームの本場がヨーロッパであることに由来しており、つまり流通量が圧倒的に多いため価格が抑えられることから来ている。また日本のボードゲームが高い理由は、1.輸送費が含まれること、2.ルールの翻訳にコストがかかること、3.狭い日本の土地で場所を取るボードゲームの在庫管理は比較的コストを食うこと、4.そもそも流通量が少ないことから赤字在庫になりやすいため単価を上げる必要があること、5.競争相手が少ないため独占的に販売できて価格競争が少ないこと、などが挙げられる。

送料(日本 海外×)

当然ながら日本の方がかなり安い。大抵のサイトが500円〜1,000円程度で配送してくれる。また「10,000円以上注文で送料無料」などと一定以上の注文で送料を無料にしてくれるサイトも多く、まとめ買いすることでコストを抑えることができる。
一方海外サイトの送料は非常に高い。場所にもよるが、基本的に2,000円〜数千円程度とかなり払う必要がある。ボードゲームの価格差をこの送料で埋めてしまい、国内で買うのとそう変わらない金額になることも珍しくない。海外サイトの送料などはジョーコデルモンドさんところのページなどである程度まとめられている*1

例外 -アマゾンの送料-(日本 海外)

ネット通販世界最大手の送料は国内/国外ともに例外的なまでに安い。日本法人であるamazon.co.jpの送料は完全無料であり、お邪魔者を注文してもディセントを購入しても送料は0円である。
また特筆すべきは海外法人の日本への配送の安さで、米国法人amazon.comの送料は一回の注文で640円+1kgにつき220円、フランス法amazon.frでは一回の注文で1,550円+商品一つにつき220円、またドイツ法人にいたっては送料が1,640円で固定されておりいくら頼んでも同じ値段で配送してくれる。

支払い方法(×省略)

あまり意識して比較したことがないので省略。個人的にはクレジットカードを一つ作ってそれを使用すれば最も簡単かつ安く購入できると思う(代引や銀行振込は手数料がかかるため)。海外サイトに関してもクレジットカードをPaypalへ登録して使用すれば安全かつ手数料がかからなくてその上便利。今のところPaypalを利用しない理由は見当たらない。

注文から到着までの時間(日本 海外×)

こちらも国内のほうが速い。在庫がある場合、基本的に一週間以内には届く。実店舗を展開しているお店も多いので注文から発送までに時間がある程度かかるケースもあるらしいが基本的に反応は速く*2、また出荷した荷物が届くのも当然国内なので速い。
一方海外のサイトは全般的に遅く、基本的に二週間〜1ヶ月はかかる。まずほとんどが海を渡って送られてくるため単純に時間がかかること、関税などでのチェックで数日待たされることがあることなどが理由として挙げられる。またボードゲーム専門の通販サイトでは合理化されておらず現地の人間が直接やり取りしているため、サイトによっては購入から発送までの手続きが非常に遅かったりする。

品揃え(日本× 海外)

これは海外サイトの方がいい。日本の販売サイトも話題作を早めに入荷したりと頑張っているが、ヨーロッパには及ばない。海外サイトの利点は二つあり、一つはまず新作タイトルが日本より数カ月速く販売されること、もうひとつは単純な在庫の多さである。日本のサイトの場合、需要が少ないことから在庫管理が難しく、結果話題のタイトルが品切れになったり、数年前のタイトルはもう国内どこでも品切れで全く手に入らなかったりする場合が多々ある。それに対して海外サイトでは常に一定の需要があるため早々品切れが発生せず、安心していろんなタイトルを買うことができる。また海外サイトでは日本で未発売のタイトルやほぼ国内で販売されてないタイトルを手に入れられることも大きい。

翻訳(日本() 海外×())

海外サイトからボードゲームを購入した場合当然マニュアルは日本ではなく、また翻訳テキストが添付されるわけでもないため日本語で読むことはできない。一方日本で販売されているボードゲームはパッケージやカード・マニュアルまですべて日本語化された日本語版か、もしくは輸入された海外版でもほぼ間違いなく日本語に翻訳されたルールやカードに貼るようのシールが添付されているため、非常にプレイしやすくなっている。
しかし、実はウェブ上で公開されている日本語のルールテキストは意外なほど多く、昔の作品はplay:game ボードゲームデータベースで多く公開されていたり*3、また草の根的に個人のボードゲームプレイヤーが翻訳ルールを公開していたりするため*4google:ハンザ・テウトニカ 日本語 ルールなどで検索してみると意外と見つかったりする。ただ、この辺りの情報は非常に散逸しているため見つかりにくく、最終的にはゲームのタイトルで検索するしかない(しかも翻訳されたルールが公開されているのに意外と検索でヒットしないのが困りものである)。
さらに、企業や販売サイトが翻訳してくれたテキストにも品質にばらつきがあり、文句のつけようがない完璧な翻訳ルールもあれば、明らかに素人が作ったひどいものもある(参考:ポケットバトル オークvsエルフのホビージャパン翻訳の誤訳・翻訳ミス)。また大手だから信頼できる翻訳をしてるというわけではなく、先ほどの例は日本のボードゲーム販売最大手のホビージャパンだし、以前お邪魔者をプレイしていて問題になった翻訳は五年以上前にメビウスゲームズで翻訳されたものだった*5

かと言ってすべての添付された翻訳ルールが悪いわけではなく、すごろくやで購入したゲームの翻訳は悪くなかったし、プレイスペースで購入したどの翻訳ルールも一度も問題になったことはない。メビウスゲームズから発売されたお邪魔者も日本語版のパッケージに入っていた翻訳は十分な品質の物だった*6。ただ、翻訳ルールには全幅の信頼を置けるものではないことと、わからなかった場合オリジナルのルールを参照する程度の英語力ができればあったほうがいい、ということである。

欠品時や破損時の保証(日本 海外×)

これも圧倒的に日本のサイトの方が対応がいい。まず出荷時点で箱に損傷がないかチェックするし、日本の運送業者ならボードゲームの箱が破損するほどの傷をつけることは滅多にない。また、コンポーネントが足らなかったり損傷していた場合でもすぐに対応してくれる。
しかし、海外サイトの場合そうはいかない。まず外国語に不慣れな者にとっては担当とメールでコミニュケーションを取ることがすでに非常に難易度が高いのに、その上対応が雑ですぐには欠品を送ってくれなかったり、対応が大幅に遅れて配送時間の長さも相まって一ヶ月以上待たされることも珍しくない。また、国際配達のため外国の配送業者が手荒に扱ったり、またamazon.deでの注文のように関税でダンボールがボロボロにされたために内容物に傷が付くようなこともある。よって完全な美品を求める人には不向きである。

サイトの使いやすさ(日本 海外 両者ともに一長一短)

両者ともに一長一短である。国内サイトの場合、すべてが日本語なので安心して使いやすいというのはあるのだが、ネットショップで一般的な買い物かごのシステムすら実装できていないサイトも多く、また買い物かごの機能はあっても検索性能が低かったり在庫の反映が遅かったりでユーザビリティの高いサイトは多く無い。一方海外サイトは日本語がほとんど使えないという点で外国語ができないものに取っては非常に厳しいが、ユーザー数が圧倒的に多いこと+競争が激しいことによりサイトデザインなどは洗練されており、純粋なユーザビリティの点で見れば優れていると言える。

まとめ

比較点 日本 海外 備考
価格 ×
送料 ×
支払い方法 ×省略
注文から到着までの時間 ×
品揃え ×
翻訳 () ×() 翻訳の質にバラつきあり。また野良翻訳も存在する
欠品時や破損時の保証 ×
サイトの使いやすさ 両者ともに一長一短
  • お金に余裕があり、外国語が得意でなく、安心感を大事にする人は国内サイト向き
  • 少ないお金でたくさんボードゲームを買いたくて、英語がある程度できウェブ上で翻訳ルールを探したりするのが苦ではなく、多少の箱の傷くらいなら許容できるという人は海外サイト向き

*1:更新した日付等が書かれていないためこのページの情報がいつ書かれたものかがわからず、今の状況にどの程度当てはまるかよくわからない

*2:過去のメールを確認したところ、少なくともすごろくやさんは朝九時に行った注文をその日に発送してもらえた。

*3:この辺りの日本語ルールが公開されているサイトは後日またまとめて記事にする予定である。

*4:自分も微力ながらそういった一人である

*5:逆に言えば大手しか翻訳作業をしていないとも言える。各小売はホビージャパンなどが翻訳テキストをつけたものを販売していることが多いようで、自分のところで翻訳を行ってテキストを付けているのは自分の知っている範囲ではメビウスゲームズ、プレイスペース広島のみである。すごろくやも自前でしているのではないかと思うのだが、メビウスゲームズの姉妹店らしいのでそちらから供給しているのかもしれない

*6:先程の昔の翻訳で問題になったというのも、その昔の翻訳を元に間違った解釈でプレイしていたプレイヤーと日本語版パッケージの正確な翻訳を元にプレイしていた自分との間でルール解釈に齟齬が生じた、というのが原因である。両方共にメビウスゲームズ翻訳だというのが面白い。