google翻訳ツールキットの欠点

さきほどボードゲームのルールを翻訳する作業でgoogle翻訳ツールキットの出来がひどいと書いたが、具体的には以下のような欠点がある。

  • 翻訳メモリや単語表などがCSVファイルでしか入力できない。google docsがあるのに、なんと公式ヘルプではgoogle docsに書き、その後"CSVでデスクトップに保存してから"アップロードする例が書かれている。これでははなはだ非効率だ。それこそgoogle docsなどから直接引っ張ってこれるようにするだけで非常に使い勝手が上がる
  • 翻訳元の文章が、最初に一度入力すると以降ずっと編集できない。元の文章にちょっとしたミスを発見しても一切編集できない
  • 単語単位での翻訳の選択ができない。普通翻訳ツールと名乗るものは最低限その程度の機能は実装している
  • 蓄積されたデータの使用方法がお粗末。おそらく文章単位での照合・翻訳しかしておらず、一文の最初から最後まで一致していないと置き換えられず、単なる機械翻訳となる。そのため長文ほど翻訳精度が低い
  • 機械翻訳の精度が基本的に低い。yahoo翻訳やexcite翻訳の方が数倍マシな結果を返す。特に品詞の解析が致命的に下手で、しかもそのミスを修正できない
  • 翻訳をこちらでカスタマイズする方法が意味不明。翻訳メモリのつもりで入力したCSVが翻訳に反映されず、どこで活用されてるのかと思ったら単にその単語を含む文章を選択すると、自分が入力した翻訳が"表示される"だけだった。翻訳作業そのものに反映しない意味がわからない
  • 一カ所の文章をユーザーが手直ししても、その修正が以降の文章などに反映されない。特に単語はユーザーが特定の単語に翻訳した場合十中八九それ以降もそのように翻訳してほしいはずなので、即座に反映してほしい
  • 動的な翻訳ができない。5000ワードの文章を入力しても数秒で結果を返すため、性能的にはまったく問題ないはずなのだが、実際に翻訳作業が行われるのはテキストファイルをアップロードした最初だけで以降最初の翻訳からまったくかわらない。そのため各種操作にまったく柔軟性がなく、改善の意志がほとんど見えない

そして、ある意味もっともひどいのが、

  • google翻訳ツールキット自体のヘルプが機械翻訳であり、かつ意味がまったく わ か ら な い ことである。こんな病気持ちの医者みたいなサービスではだれも積極的に使用したがらないだろう

このように、このツールは問題が多すぎる。この問題全体がさらに最悪だと思うのは、これらのどれもが翻訳に関する専門的な知識を必要としない、単にプログラム上の問題だということである。つまり、人的リソースとまともなプログラマーを配置すればどれも改善可能だということだ。一応全世界から俊英を集め、最高峰のプログラマーが集まってるはずのgoogleのサービスがこんな有様でいいのだろうか。最近google wavegoogle tvなどアイデア一発でその後が全然続かない製品が続いているが、圧倒的物量や発明的サービス意外ではこういった地道な改良作業を続けないとユーザーに継続的に使用してもらうことは無理だということをgoogleは理解していないのではないかと思う。また、一プログラマーとしてこれだけのユーザー基盤とデータ、リソースを持ち、人材も豊富なはずのgoogleでこんなサービスしか提供できないのは非常にもったいない、残念だと感じた。