百均の容器で作るダイスロール装置

きっかけ

先日友人数人とアーカムホラーというボードゲームをしていた。
このゲーム、ボード自体がかなり大きい上に小さなコマがボード上に配置される。しかもTRPGに似たゲームシステムなので毎ターンことあるごとにダイスを振る必要がある。だが、ボード上でロールするとコマなどを倒してしまい、ボード以外のところで降ろうとしてもボードが大きすぎて余った領域など殆ど無い。そのため何度も行う必要があるダイスロールが非常に面倒だった。
数カ月前に行った一度目のゲームでは、たしかプラスチック製の入れ物をボード上に置き、その中に振るようにしていたのだが、これでもボードに振動が伝わってコマの位置がずれたり時にはダイスが入れ物から飛び出してしまい面倒なことも多かった。


↑このようにカードとコマが所狭しと置かれている
そのため、今回も面倒ではあるものの前回と同じ方法を取ろうと考えていたのだが、同席していた友人のひとりが素晴らしいアイデアを出してくれた。それは次の画像のようにビンの中へダイスを入れる方法である。

この方法であれば、どれだけダイスを振ろうが飛んでいったりしないし、また飛ばないよう慎重にロールしたためにダイスがあまり回転せずランダムな値が出ない、などのようなことは起きない。使用されるスペースも最低限で済み、透明な瓶を使えば可視性もそれほど悪くなかった。

ネットで調査

アーカムホラーをプレイしているあいだ中このアイデアの素晴らしさに感動していたので、類似したアイデアやもしかすると商品化したようなものがあるのではないかと思った。しかしインターネットで調べてみた限りではそのような情報は見当たらない。住居が狭い日本でダイスを振るには非常に合理的な方法だと思ったのだが、プレイスペース広島などテーブルゲームを扱っているお店で売っているダイスの欄を調べてみても類似する商品は一つも見当たらなかった。
もしこのアイデアを実現した商品があればそれを購入しようと思ったのだが、どこにも見つからなかったのでなんとか自分で作ろうと考えた。

ダイスロール装置*1の作成

作る、とは言ったものの実際にはダイスと今回の用途に適した容器の二つがあればいい。ダイスは以前ボードゲームショップで購入したものがあったので、今必要なのは容器だ。

容器が満たすべき条件

この装置に使用する容器には満たすべき要素がいくつかある。

満たすべき条件 理由
少なくとも蓋以外の部分が透明で、かつ透明度が高いものが望ましい 振ったダイスの目を確認しやすくするため
人の手に収まる程度の大きさ あまり大きすぎると持ちにくい。反対に小さすぎるとダイスがあまり入らず、ダイスを小さくすると目を確認しにくくなる
本体は円筒形で、かつ容器の底の部分は丸まっているのが望ましい 角があるとそこでダイスが止まりやすく、転がりにくい
フタの内側の面ができるだけ平な方が望ましい フタの内側に凹凸があると、振り終わって止めたとき、ダイスが斜めになってしまい判断に困る場合がある
本体はプラスチックが望ましい ガラスの場合落として割ってしまうリスクがある。またプラスチックのほうが軽くて扱いやすい
百均などで買える手頃な値段 安価なことに越したことはない
最終的に購入した容器

上のような条件を考慮し、近場の百均とホームセンターを何件か回った結果、ベストだと感じたのが次の容器である。

この容器は近所のダイソーで売っていた食品を冷蔵保存する用の容器で、次のように三つで100円と非常に安価に手に入れることができた。

この容器を上の条件と照らし合わせると次のようになる。

満たすべき条件 この容器の場合
少なくとも蓋以外の部分が透明で、かつ透明度が高いものが望ましい 完全な透明とはいかないものの十分な透明度がありダイスの目を確認することに支障はない
人の手に収まる程度の大きさ 最も太い部分が直径8cmと非常に手になじむ大きさ
本体は円筒形で、かつ容器の底の部分は丸まっているのが望ましい ボウル状の丸まった形状
フタの内側の面ができるだけ平な方が望ましい 多少の凹凸はあるものの大きな段差はなくダイスが傾くことはない
本体はプラスチックが望ましい ある程度の強度があるプラスチックで申し分ない
百均などで買える手頃な値段 三つで百円

このように、この容器はほぼすべての要件を満たしている。一つだけ欠点を上げるなら、容器が少しだけ半透明で、かつ本体底部分に凹凸があるためダイスの目が若干視認しにくいことだが、そもそも今回めぐった店の中ではこれ以上に視認しやすい容器はプラスチックでは存在しなかった。

作成結果

ダイスを入れてみるとこうなった。

上からの画像

ダイスをロールした後の状態
上の画像を見てもらえればわかるが、事前に危惧していたほどには視認性が低くはならなかった。これなら十分実用に耐える。

ダイスを入れるときのアイデア

注意!この項目に書かれているよりももっと最適な方法があることがわかりました。詳細は記事最後の追記を参照してください。
今まで説明してこなかったが、実はこの装置このままでは非常に使いにくい。というのも同時にN個のダイスをロールしたい時、そのN個ぴったり入った容器がないと振ってしまったあとではどれがどれだか見分けがつかないのだ。
そのため、容器に入れるダイスの色を分けて、振る前にどの色とどの色のダイス、と必要な個数のダイスの色を指定すれば良いのだが、すべてのダイスの色を変えると五個、六個とダイスを指定するとき面倒である。そのため、次の画像のように一個、二個、三個と同じ色のダイスを一つずつ容器に入れればよい。

このようにすべての色で一つずつダイスを増やしていけば、そのダイスの合計数以下のダイスロールは色のグループを指定するだけででき、しかも一意に決まる*2 *3 *4
例えば上の写真のように「白赤赤黒黒黒」と入った容器の場合、

ロールしたいダイスの個数 色の組み合わせ
1
2
3
4 白+黒
5 赤+黒
6 白+赤+黒

となり、六個のダイスが入った容器で1〜6の任意の個数のダイスロールが可能になる。

まとめ

複数個のダイスを一気にロールするとき、省スペースで振れる便利な装置を作った。このような器具は特にコマやトークンなどが多用されるボードゲームでは非常に便利だろう。今回紹介した容器と全く同じでなくとも、似たような容器は百均を回れば必ず見つかるので、興味のある方はぜひお試しください。

追記

これに似た商品などがあることを知っている方おられましたらぜひ教えてください。

11/04/02追記(ダイスを入れるときのアイデアについて)

この記事を書いた直後に二人の方からダイスの数は1,2,3のように一つずつ増やしていくのではなく、二進数のように1,2,4,8,16・・・と倍々で増やして入ったほうがいいとのご指摘をもらいました。たしかにこの方法ならサイコロ全体の個数が1,3,7,15・・・である限り必ずサイコロの組み合わせが一意に決まりますのでこちらのほうが優れています。掲示板でご指摘してくださったisaisstillaliveさんとtwitterで連絡してくれたuta9541には感謝します。

*1:語彙が乏しいせいかいまいちしっくりくるこの装置の名前を思いつくことができなかった。それっぽい名前を思いついたりしたらぜひコメントででも教えて欲しい

*2:この一意に決まるということは地味に重要で、例えば白白赤赤黒黒と入った容器で四つのダイスを振りたい場合、白と赤や赤と黒など複数のグループが指定できてしまうと事前にどの色を指定したかでもめる可能性がある。しかし、一意に決まるのであればそのような心配はない

*3:一意に決まると言い切ったが、実際には補足のルール「できるだけ最小数の色グループを選択する」が必要である。例えば先程の例で三つのダイスをロールしたい場合、白+赤赤と黒黒黒どちらでも三つのダイスのロールになってしまうが、補足ルールの適応により黒の方が必ず選択されるようになる

*4:さらに補足すると、今回は六個のダイスだったので1+2+3=6でぴったりだったのだが、これが七個や五個の場合今回のように一つずつ色ごとに増やしていく方法は取れない。そういった場合、白赤赤黒黒などにして、赤と黒どちらか選択する必要がある場合は「色が白に近い方を優先的に選ぶ」などの補足ルールを追加する必要があるだろう