輸入したゲームでボードゲーム回

この前輸入したボードゲームをすることにして友人数人と集まりいくつかやってみた。

集まったのはfukeshanとutaの二人。場所はfukeshan宅を使わせてもらうことにした。*1
今回やったのはケルト、電力会社、カルタヘナの三つ。本当はケイラスも持っていこうかと考えていたが電力会社も結構なヘビーゲームなので二つはきついだろうと思い今回はやめた。

ケルト

かのライナークニツィアが初めて年間ドイツゲーム大賞を取ったゲーム。内容的には各所で言われている通りロストシティの多人数対応版らしい。
自分は一度ルールを翻訳するときに熟読していたので若干有利にプレイ。ルール説明もそこそこにプレイを始めたが基本的に単純なゲームなので割とすぐにみんな対応できてた。
一回目のプレイでは最初に進めた二倍のトークンの道がまったく進まず結果的に五つの道すべてを進めてしまい、まんべんなく点は取れたものの最後までいったfukeshanにはかなわず。幸運の石が一つも取れなかったutaには辛うじて勝てた。
1位 fukeshan 40点ぐらい ぶっちぎり
2位 den8 20点ぐらい 普通
3位 uta 10点ぐらい 幸運の石がなかったのも痛かった
このプレイ中にutaがボード周辺についてる得点トラック(現在のプレイヤーの得点を表すトラック=道のこと)がいらないんじゃないかという。考えてみると確かにそうだ。得点トラックのトークンは得点タイルを取ったときにしか動かさないので、手元にある得点タイルの合計で得点は絶対にわかるし、プレイ中の道に進めている石の得点はトラックに反映されないので、現在何位当たりでトップまで何点必要か、などの情報も表していない。
まったくもって言う通りだと思いつつ、utaには得点トラックっていうのはドイツゲームの慣習であり、様式美なのだとわけのわからん説明をしてごまかした。

割と軽いプレイ感だったのでもう一度することにする。
今度はスタート地点に近いところのタイルに四葉のクローバー(任意のトークンを一つ進めることが出来るボーナス)が多かったのだが、その辺をほとんどかっさらって行ったutaがぶっちぎりで勝った。このプレイで私は粘り強く耐え、すべての道でそこそこまで進め、カード枚数的には最後の石まで行ける道が2つぐらいはあったのだが、決定的にスピードが遅く見事な速攻を決めたutaとそれに追随したfukeshanに得点領域まで五つの石を進められてあえなくゲームが終了してしまった。
1位 uta 40点ぐらい タイルでも二倍のトークンを最後まで進めた点でも完勝
2位 fukeshan 20点ぐらい 普通
3位 den8 10点ぐらい まんべんなく進めたがタイルがほとんどなかったのも痛かった

これは電力会社が終わった後にutaが言っていたのだが、どうやらutaケルトのようなアブストラクチックなものが得意なようだ。私は逆にケルト6ニムトのようなアブストラクチックなものが苦手らしく、この指向性の違いは次の電力会社でも結構顕著に出た。

ケルト総評

たぶん良くできているのだと思う。utaはまたしたいと言っていたしそれほど重たいゲームでもないので私もまたしてもいいと思った。しかし、いかんせんテーマが分かり辛すぎる。このゲームシステムとケルトの石の道はなにか文化的な背景と対応しているのだろうか?これならロストシティの方がテーマがわかりやすくていいと思った。*2
また、某ボードゲーム店舗の店長が言っていたように、ロストシティは捨てたカードを拾いうるのが相手のみであるため、相手に拾われることが直接的にこちらの不利を招く。そのためケルトより戦略的になりゲームに深さができるのだとに思う。ケルトは複数人でするため捨てたカードを誰が拾うかは確定しておらず、その辺りがゲームをあやふやにしている。まあ逆にケルトの方は複数人いることで特定の色の道を何人が降順、何人が昇順で置いていくかにより有利不利ができるためそういった戦略性もないことはない。が、やはり全体の見通しが悪くなったような気がするのは確かだと思う。
まとめると外れではないが、アブストラクチックなものが好きでない人で年間ドイツゲーム大賞のシールがいらない人、かつ少し多めのお金を出してもいい人*3はロストシティ4人版をオススメする。デザイナーとゲームシステムはまったく同じなので本当にセットのデザインが違うだけでやることは同じのはずである。ただまあ一応ケルトは追加ボードがあるので、そちらがしたい人はケルトを買ってもいいかもしれない。*4

電力会社

ヘビーゲームを一日二つするのは難しいので、今日のメインはこちらを持ってきた。
このゲーム、とにかくいろいろややこしい。まずプレイ順番が電力網の多さや発電所の規模により決まるため、スタートプレイヤーから時計回りにという風には決まらないのだ。次にそのプレイ順番が常に昇順とは限らない。どういうことかというと、一回のターン中に複数のフェイスがあるのだが(発電所の購入、送電網の建設、燃料の購入など)その中で先ほど決めた順番の通りやるフェイズと、さっきの順番とは逆順に行うフェイスがごっちゃになってるのである。例えば発電所の購入は通常の手順であるが、送電網の建設と燃料の購入は逆順である。さらにこのゲームをややこしくしているのが、全体を通してステップ1,2,3という風に分かれていることで、しかもその分かれ目が電力網に含まれる都市の数、という何ともはっきりしないものなのである。
このように微妙な固有値というかマジックナンバー的な設定が数多くあるせいで非常に見通しが悪く知らない人にインストするのが非常に面倒なゲームとなっている。実際チュートリアル的なプレイであるステップ1を終わるまでに一時間半かかってしまった。私はなんとなくウォーゲーム的な匂いをこのゲームから感じ取ったので、勝手にアメリカゲームだと決めつけつつ悪態を突いていたのだが後でデザイナーを調べてみると間違いなくドイツ人だったらしくこれは完全な濡れ衣だった。*5

この時点ですでに四時を回っていたのだがせっかくここまで来たので一度通してプレイすることにする。インストはほぼ全員さっきで理解していたため全員全力プレイ。
ステップ1は先ほどと同じような感じで進む。その辺までは風力発電か石炭・石油のどちらかを使用する発電所が大半である。
ところが、ステップ1を過ぎてからエコ発電(ゴミが燃料)や原子力発電(ウランが燃料)が出てくると俄然おもしろくなってきた。燃料の供給は毎ターン一定であるため市場の需要と供給が見事に再現されるのである。原子力発電所はウランを燃料としており、自分だけの場合燃費はいいが、二人、三人と入ってくると一気にウランの値段が高騰し燃費が悪くなるのである。またハイブリッド発電所を持っている人は石炭・石油どちらでも使えるため、次以降に石炭 or 石油どちらか専用の発電所を持っている人がいる場合そちらを優先的に取って意図的に燃料の高騰を引き起こせば他のプレイヤーの資金を削れる。また燃料とも密接に関係する発電所の競りも熱かった。風力発電は燃料がいらないためみんながほしいのだがなかなか市場に出ず私は結局ほとんど落とすことが出来なかった。

ステップ1を過ぎた辺り、電力網が9個まではほとんどみんな並んでいたのだが、そこを過ぎるにつれて作った電力網すべてに電力を供給できなくなり、結果的に最後まで供給しつづけた私が勝った。
1位 den8 17都市 毎ターンお金を使いきりつづけたのが良かったように思う
2位 fukeshan 14都市 お金も余っており電力網も出来ていたのだが、燃料を供給しなくていい風力発電にこだわりすぎて供給できる都市数が少なくなってしまったのが敗因だと思う
3位 uta 13都市 途中まではこっちに1位を取られるかと思ったが、結果的には最下位になった。正直未だになぜ最下位なのかわからない。プレイしている感じでは私とほぼ同じ感覚でやってるように見えたのだが…

総評

冒頭に挙げた通り、膨大なマジックナンバーと複雑なシステムのせいで単にただややこしいだけのゲームに見える。上では挙げなかったが、他にもお金の単位が非常に面倒くさい、そのお金のやり取りが人生ゲームのような紙幣を用いるのでいちいち手間がかかる*6など欠点を挙げればキリがない。
にも関わらず、非常におもしろいのである。相変わらず各種手順は毎回プレイエイドを見直さなければならないほど複雑なのだが、入札の方法や燃料の需要・供給の関係、および電力網の陣取りシステムなどが非常にうまくマッチしており、最後までプレイヤーを飽きさせない。私はこのような現実的なシチュエーションを扱ったゲームが好きなので、これは非常におもしろかった。この多数の要素をうまく関連付けるというのは非常に難しい点だと思うのだが、これを完璧なまでにやり遂げたフリードマン・フリーゼには敬意を表したい。これだけの完成度を作るためならあのややこしいシステムや数多くのマジックナンバーも耐えられるように思う。
ゲームの指向性としては明らかにフリークゲームに属し、決してライトなプレイ感ではないがより重厚なゲームをプレイしたい人にはぜひともオススメしたいゲームである。

今回のプレイは3人でしたのだが、一つの都市に置ける電力網が三人(三種類)までだったので閉じ込められる、といった陣取り的要素が薄くなってしまった。なので次回は四人以上を呼んでもう一度プレイしたいと思う。

カルタヘナ

電力会社が終わった時点ですでに夕ご飯の時間を過ぎていたため、近所のうどん屋でご飯を食べて最後にカルタヘナをプレイすることにした。これはライトゲームに属し結構軽いプレイ感のゲームらしい。

先にルールを読んでいるときにも思ったのだが、かなり微妙なゲームに思える。実際のプレイ感もかなり微妙で運ゲーなのかというとそういうわけでもなく、かと言って運の要素がないとも言えない、終始微妙なゲームだった。
1位 uta 結構先にポンポン海賊を船まで連れて行ってたので後で困るんじゃないとか思ってみていたのだが見事に逃げ切った
2位 den8 先にプレイ記録を読んでいたので海賊全体を押し上げるように移動していったのだがutaには数ターンも離された
3位 fukeshan カードを貯めるために最初海賊をあまり進めなかったせいか見事に海賊が入り口に残ってしまい最下位になってしまった

総評

このゲーム、一度通してプレイしたが結局誰もどうすれば勝てるのか、という点が最後までわからなかったので勝ってもあまり嬉しくない、負けてもなぜ負けたのかさっぱりわからないという微妙なゲームだった。この勝ち方がわからないというのが非常に辛い。いわば評価関数に当たる物だと思うが、将棋のAIを作るときにも盤面を評価する関数がないとまったく話にならないのである。某所では滅多につかない評価がついていたので外れはないだろうと思ったのだが久々に外してしまった。他では評価は高いが、なぜか私の仲間内では非常に評判が悪いというのはパンデミック以来だ。まあみんな電力会社で疲れ切っており食後のゲームとしては最適だったかもしれないが、おそらく今後はしないであろうゲームの筆頭となってしまった。

*1:実は私のアパートにはまだ机がないのだ。一つある勉強机はPCが占拠している。

*2:ならロストシティ四人版を買えばよかったのだろうが…

*3:ロストシティ4人対応版はケルトよりも少し高いため

*4:とは言ってもたぶんロストシティ4人版をかってもケルト追加ボードでプレイできるはずであるが。

*5:ドイツ人はもっとこう、ルールが簡潔でかっちりハマるようなデザインをするっていうイメージがあったのだがこんなゲームを作る人もいるのかと驚いた

*6:私たちは直接メモ帳に推移を書いてプレイした。実際紙幣をやり取りするとたぶんプレイ時間+30分ぐらいは軽いので、雰囲気を優先するプレイヤー以外は私たちと同様の方法を取った方がいいかもしれない