ハンザ・テウトニカのルール翻訳をした

一年ほど前にamazon.deからボードゲームを直輸入したとき、ハンザ・テウトニカというゲームを購入したのだが、その時点でこのゲームの日本語ルールはウェブ上では公開されていなかった。もっとも英語の公式ルールPDFEnglish Rules | Hansa Teutonica | BoardGameGeekやその要約Hansa Teutonica Revised English Rules.pdf | Hansa Teutonica | BoardGameGeekなどがBoardGameGeekで公開されていたため、しばらく経って公開されないようであれば自分で作成するつもりだった。そして実際に半月ぐらい経ったときにBoardGameGeekで公開されていた四ページほどの要約ルールを日本語翻訳して一応完成したのだが、同時期に別のゲームのルール翻訳で連絡を取っていた方が、自分のところでは基本的に公式ルールテキストを翻訳したものしか載せてない方針であるということを知り、確かに日本語ルールを使用したい他の方がいた場合、その方がいいだろうということで後ほど公式ルールのPDFを翻訳するつもりで、ずるずるとやるのを引き延ばしていた。これはまあ、一度やった翻訳作業をまた別のPDFを元にしなければならないのが面倒だったためで、自分の怠惰のせいにほかならない。

そんなこんなで一年間ずっと気にはかけていたもののほったらかしにしていたのだが、この一週間急にまったく暇になったため、一念発起して翻訳をやり直すことにした。元となったファイルはBGGにある公式ルールのPDFで、まず最初に本文を翻訳し、その後PDFを編集して元のファイルのテキストを置き換える計画を立てた。これは以前別のPDFファイルを操作した経験からある程度編集できることを知っていたためで、このファイルも幸いプロテクトがかけられていなかったためテキストなどを操作することが可能だった。

翻訳作業

翻訳は今までは単に元の文章を見ながらテキストエディタに打ち込むだけだったのだが、今回翻訳するにあたり翻訳ツールが使用できないかいろいろ調べた。その主な動機は

  1. 自分が作成したあとでも、間違いを見つけた人が簡単に直せるように
  2. 翻訳の作業中、特定の単語はある固定した日本語へ常に翻訳してほしいのだが*1、そのようなツールはあるか

という点である。後者はその働きずばりをするツールがあり、翻訳メモリと呼ばれていることがわかった。また、前者についてもgoogle翻訳ツールキットを使用すれば任意の人を翻訳中のテキストに招待することができることがわかったので、それを使用することにした。

まず最初に元のPDFのテキストをコピーしテキストエディタである程度整え、google翻訳ツールキットで仮の翻訳をしたのだが、この翻訳がまったく当てにならず困った。正直なところもうちょっとマシな結果を出してくれると期待していたのだが、まるで見当違いな翻訳結果が出る、単語単位で翻訳を操作できない、前の文章で修正した結果ももちろん以降の文章に反映されないなど通常の翻訳ツールにも劣る非常にお粗末な出来で、最終的にすべての文章を書き直すことにした。しかしこの量がなかなか多く、5000ワードほどの文章だったのだが一日八時間程度作業して丸三日以上、途中用事なども入ったので先週まるまるいっぱい使っての翻訳作業だった。

元ファイルへの書き戻し

とりあえず翻訳作業が終わったので、元のPDFファイルに書き戻した。PDFへの書き戻し作業はここPDFファイルの直接編集についてが参考になった。これも実はかなり苦労したのだが、最終的なできばえはかなりよくなったと思う。ちなみになぜオリジナルのファイルを作らずPDFを無理矢理編集したかというと、画像ファイルの配置など組版作業が面倒だったのと、そうして作ったファイルよりもよりオリジナルに近い形のファイルの方が仮に他の人が使用する場合有益だろうと思ったからである。*2

結果

こうなりました。
ハンザ・テウトニカ 公式ルールテキスト 日本語訳
個人的にはかなりの満足度。元のPDFファイルのリソースをしようしたことも相まって、このまま日本語版に含まれていても遜色ない、程度のクオリティにはなったんではないかと思う。ただ、一素人の作ったものなので、プロの翻訳者から見るとまだまだ全然拙いのかもしれない。まあその場合はgoogle翻訳ツールキットを使用している唯一の利点を使用して、間違いを見つけた人や翻訳の上手い人が今のテキストを編集してくれれば良いと思う。

*1:こうしなければならない理由はルールブック中で表現がぶれないようにするためである。同じものを指すのに同じルール中で知恵の書だったり言い伝えの記録だったりLiber Sophiaeだったりしては非常に理解しにくくなってしまう

*2:あとはまあ、せっかく公式ルールを自分なりに完全翻訳したのだから、日本語版として出版されても恥ずかしくないくらいのクオリティにしたいという気持ちもあった